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歯科医院の経営状況 “隣の歯科医院”
歯科医院様の経営に関する内容を書いてまいります。
順次書き足してまいりますので、時々アクセスしてご覧下さい。
●顧問先に配布している歯科経営情報レポートより抜粋
(歯科経営コンサルタント宮原秀三郎先生の講演より)
◆◆歯科医院の勝ち組マーケティング◆◆ 〜その2〜
■変革派が取った対応
バブル崩壊後、歯科医院の将来に危機感を持ち、他の歯科医院との違いを
明確にうちだそうとする歯科医院が出てきました。
『競合歯科医院との間に患者満足上の差異をもうけて、患者を増やす』ことを
目指し、積極策で対応した歯科医院様は患者数、保険点数を伸ばしました。
※具体的対応の一例
・駐車場台数を一定以上確保する
・内装を落ち着きのある上品なものとする
・接遇のランクアップ
・医療設備機器の充実
・リーフレットとホームページの内容のレベルアップ
・大人のための待合室を作る(キッズコーナーではなく) 等々
■基本に戻れ!
●激震の2006年4月の保険改定
患者数を伸ばした変革派も2006年の保険改正で大きな影響を受けました。
変革派も保険診療に大きく依存していた経営でした。
歯科医院経営は、保険診療による安定的な収益確保を基礎として、
成り立ってきましたが、保険診療に依存した医院経営の先行きが
見えなくなってきました。
●安易な自費移行は危険
このような状況の中、自費への移行を目指す医院も多くなりましたが、
安易な自費移行は、うまくいくはずがありません。
院長自身に方針変更に至る確固とした哲学がなければ
スタッフも動かず、患者さんも受け入れません。
保険か自費かの判断は、本来患者側にあるのであって、
医院側の経済的都合で判断されるものではありません。
重要なのは、 『歯科医療サービスはいかに提供されるべきか』 という
患者サイドにたった基本的命題について、あらためて考えることです。
今後、歯科医院は健康保険だけに依存せず、『最善の医療』の提供に
全力で取り組むことです。
効率的な業務手順と効果的な患者対応を確立し、
組織の膿を出し、院長とスタッフが同じ方向に向かって一丸となって
歯科医院経営にあたることが重要です。
●顧問先に配布している歯科経営情報レポートより抜粋
(歯科コンサルタント宮原秀三郎先生の講演より)
◆◆歯科医院の勝ち組マーケティング◆◆ 〜その1〜
■二極化時代の始まり
かつて「よき時代」と言われた頃の歯科医院は、待合室には患者があふれ、
十分な診療収入を確保することができました。
1980年代、分院開設ラッシュの時代になり、好立地を埋めるように
多くの分院が開設されましたが、過大投資と過大な債務で、
バブルの崩壊を待つことなく、経営破綻に陥った歯科医院が出始めました。
バブル崩壊後、歯科医院にも「変化への対応」の必要性が唱えられ、
環境変化がもたらす将来に危機感を持ち、周囲の競合歯科医院との
差異化を図ろうとする歯科医院が出てきました。
現代にも続く、 「自己変革派」 と 「何もせず派」 の
二極分化の時代の始まりです。
●現代にも通じる過去に学ぶ教訓
①過大投資と過大債務に要注意
②キャッシュフローを第一に考える
③分院経営は組織が強化されてから
④患者減、収入減の原因を外部に求めない
⑤患者減、収入減の原因を医院内部に求めて、改善する
⑥増患増収に向けた対応策に、医院の経営資源(人・もの・金)を
投下する
⑦上記対応策を実施した後の事後評価を客観的に行う
⑧対応策は常に更新し、継続して行う
【次回に続く】
■□■平成20年診療報酬改訂後の医業経営動向速報■□■
今年度診療報酬改訂後の経営状況の速報値です。
集計対象期間は平成20年4月〜6月です。
●調査対象歯科診療所数 経 営 形 態 | 個 人 | 法 人 |
前年同期比較 | 1,806件 | 622件 |
5か年同期比較 | 1,512件 | 497件 |
経営形態 | 個 人 | 法 人 | |||
区分 | 医療機関数 | 1,806件 | 622件 | ||
平均従事員数 | 5.4人 | 10.4人 | |||
項 目 | 構成比 | 前年比 | 構成比 | 前年比 | |
要 約 損 益 計 算 書 | 医業収益 | 100.0 | 102.1 | 100.0 | 101.5 |
内 保険分 | 84.1 | 1018 | 75.0 | 101.2 | |
内 自費分 | 15.9 | 103.8 | 25.0 | 102.6 | |
材料技工料 | 17.8 | 103.2 | 17.7 | 102.2 | |
給与費 | 29.2 | 100.9 | 52.9 | 98.8 | |
減価償却費 | 3.6 | 106.7 | 3.7 | 105.3 | |
経費 | 21.3 | 100.0 | 23.5 | 100.6 | |
経常利益 | 28.1 | 103.8 | 3.6 | 217.0 |
①医業収益の動向
②材料費・技工料の動向
委託費は増加しているものの102.0%にとどまった
③給与費の動向
個人よりも法人のが、減収への対応を素早く実行している
★医業収益が前年よりも増えたことについて、意外と受け取る先生方も多いと思いますが、
弊所の関与先歯科医院様も減収にならないよう努力されていらっしゃいます。
また、新規に関与先になった先生方も、今までとは違い、医院の経営状況の内容を
把握し、意識されただけで、診療収入を上げていらっしゃいます。
先生方は皆様もともと経営能力をお持ちなのです。
会計は経営のためで税務署への申告のためではないのです!
減収の原因は必ず自院内部にあります。
■歯科医院経営の実態調査
(1)中医協診療所調査データ
単位:千円
勘定科目 | 平成15年 | 平成17年 | 伸び率 | ||
金 額 | 構成比 | 金 額 | 構成比 | ||
Ⅰ医業収入 | 44,263 | 100.0% | 42,576 | 100.0% | -3.8% |
Ⅱ医業費用 | 29,565 | 72.5% | 26,362 | 61.9% | -10.8% |
Ⅲ収支差額 | 14,698 | 27.5% | 16,214 | 38.1% | 10.3% |
◆調査データの特性
①平成15年の調査に比べ、平成17年の調査では医業収入は減少傾向
②医業収入が減少しているにもかかわらず、経費の節減がなされているために
収支差額は増加傾向にある
③医業費用中、材料費と技工料が大幅な減少になっている
(2)会計事務所顧問先調査データ (調査件数122件)
単位:千円勘定科目 | 平成17年 | 平成18年 | 伸び率 | ||
金 額 | 構成比 | 金 額 | 構成比 | ||
Ⅰ医業収入 | 50,746 | 100.0% | 53,731 | 100.0% | 5.9% |
Ⅱ医業費用 | 36,799 | 72.5% | 37,564 | 69.9% | 2.1% |
Ⅲ収支差額 | 13,946 | 27.5% | 16,167 | 30.1% | 15.9% |
◆調査データの特性
①中医協の調査に比べ、医業収入は5.9%の増加という結果
(中医協データは前年比マイナス)
②調査対象に開業後3〜5年の顧客が多いため、その他医業費用の割合が多い
③収支差額が全国平均を下回っているのは、増収への取り組みがコスト増に
なっているため
◆医業収入増加の要因
①歯科医師がいつも明るく、患者様の相談に気軽に対応している
②自費率を上げる為に、自費診療ファイル、掲示物等を活用している
③パンフレット、クリニックカード、ホームページ等の広告宣伝
④患者様にわかりやすい説明を行っている 等々
◆医業収入減少の要因
①院内掲示、パンフレット等が少ない
②広報用ツールの不足
③受付スタッフの対応
④予約通りに行っても長時間待たされる(説明無し) 等々
平成18年の診療報酬改定は、過去最高の▲3.16%の大幅なマイナス改定となり、
改訂後の経営状況が注目されていました。
本年4月から6月までの経営状況の速報値をご案内いたします。
歯科医院(個人診療所)
*診療収入 対前年比 99.1%
内訳 保険診療 対前年比 97.5%
自由診療 対前年比 109.0%
*材料代・技工料 対前年比 106.0%
*人件費 対前年比 101.7%
*経常利益 対前年比 92.6%
大きなマイナス改定のため、当初は、各歯科医院の院長先生方も
10%くらい診療収入が減るのではと、心配されていらっしゃいましたが、
実績値は、診療収入合計はほぼ前年並みの診療収入となりました。
内訳は、やはり保険診療収入は減少しておりますが、その減少分を
自費収入の増加で補っています。
これも各歯科医院様が、スタッフの皆さんと事前に対応策を検討し、
大きなマイナス改定に備えた結果です。
但し、経費関係が増加しています。経費についての押さえが少し足りないようですが、
今後の状況を見ていきたいと思います。
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